日本人には、実の親から育てられる子供に対して「かわいそうな子」である、という心性が働くようです。里子や養子を「もらいっ子」などと呼んで差別する意識が、まだ日本社会に残っていることも否めません。「家」の存続を目的とした、親の都合による養子縁組がおこなわれることが多いので、養子制度においても、子供の救済という観点から制度が整えられることがなく、1988年の特別養子制度の誕生まで待たなければなりませんでした。これは欧米の諸制度からはかなり立ち遅れており、国際社会から非難されてきたという現状があります。血のつながらない子どもを引き取り、わが子として育てる養子縁組は海外ではごく 一般的な家族の形ですが、日本ではまだ、あまりなじみがないといえます。実際に、養子制度がと意識が一般化していない現況では、実の親、あるいは養親から育てられる機会を失った子供や孤児となった子供のほとんど(約9割以上)は、乳児院、児童養護施設で、育つことになります。特別養子縁組を行うためには、かならず実親の同意が必要になります。後で見るように、6歳未満、つまり5歳までにこの手続きを得ることが必要になりますが、施設に預けている実親と連絡が取れない場合も少なくありません。海外ではそのような場合は親権が剥奪されることもありえます。しかしそうであったとしても現在の日本では親権は実親にあります。制度的には、実の親が行方不明の場合は、同意がなくても許容されうるのですが、養子の斡旋(あっせん)機関である児童相談所は、後になって実の親が現れてトラブルになるのではという懸念から、特別養子縁組の申立てを控える傾向があるようです。